2025年最新!飲食店が活用できる補助金・助成金まとめ!申請手順や期間・金額も解説

物価高騰と人手不足が深刻化する2025年。飲食店の経営環境は一層厳しさを増しています。

しかし、国や地方自治体が実施する補助金制度を適切に活用することで、設備投資や人材確保の負担を大幅に軽減できます。競争力を向上させることも可能です。

この記事では、①2025年に飲食店が活用できる主要な補助金制度の詳細②実際の採択事例と具体的な活用方法③申請を成功させるための実践的なポイントについて解説します。

適切な補助金を選択し、戦略的に活用することで、限られた予算でも効果的な事業改善を実現できるでしょう。

2025年飲食店向け補助金制度一覧表

飲食店が活用できる主要な補助金制度を一覧で整理しました。

事業規模や投資目的に応じて最適な制度を選択することが重要になります。

制度名 補助上限額 補助率 対象事業者 申請期間 飲食店での主な用途 公式情報
中小企業省力化投資補助金 750万円~1億円
(従業員数により変動)
1/2 中小企業 年3~4回公募
(5/30、8/29他)
券売機、配膳ロボット 中小企業庁
IT導入補助金 350万円~450万円
(枠により変動)
3/4~1/2 中小企業・小規模事業者 第1次~第7次
(5/12~12/2)
MAIDO POS、予約システム 事務局サイト
小規模事業者持続化補助金 50万円~200万円
(基本50万円、特例200万円)
2/3 従業員5人以下 年2回
(6/13、11/28)
店舗改装、広告宣伝 事務局サイト
ものづくり補助金 750万円~3,000万円
(従業員数・枠により変動)
1/2~2/3 中小企業 年3回
(4/25、7/25、10/24)
厨房機器、製造設備 事務局サイト
キャリアアップ助成金 57万円~80万円/人
(要件により変動)
定額 全事業者 正社員化後2か月以内 正社員化、処遇改善 厚生労働省

飲食店の人手不足解決に活用できる「中小企業省力化投資補助金」

人手不足が深刻な飲食業界。省力化設備の導入は急務の課題となっています。

中小企業省力化投資補助金は、券売機やセルフレジ、配膳ロボット、自動調理機器などの導入費用を支援します。労働生産性の向上を実現する制度です。

2025年度の詳細スケジュールと補助上限

2025年度は一般型とカタログ型の2つの申請方式が設けられています。

一般型では、第2回が5月30日締切、第3回が8月29日締切となり、年間3~4回の公募が予定されています。

補助上限額は従業員数により大きく異なります。5人以下の事業者は750万円(賃上げ特例で1,000万円)、21~50人では1,500万円(同2,000万円)、最大で1億円まで拡大されます。

カタログ型では事前登録された設備から選択でき、随時申請が可能。採択・交付決定まで1~2か月程度と迅速な対応が魅力です。

飲食店での具体的な活用事例と効果

都内のラーメン店では、券売機とセルフレジの導入により、注文受付と会計業務を自動化しました。

投資額200万円のうち100万円を補助金で賄い、人件費を月額15万円削減することに成功。回転率も20%向上し、売上増加も実現したそうです。

「ピーク時の混雑が大幅に緩和されて、お客様の満足度も上がりました」と店主は語ります。

一方、カフェチェーンでは配膳ロボットを3台導入し、ホールスタッフの負担を大幅に軽減。補助金600万円を活用して1,200万円の設備投資を行い、従業員の満足度向上と顧客サービス品質の安定化を両立しています。

飲食店が申請する際の対象設備と注意点

カタログ型の場合、事前に登録された設備から選択するため申請書作成が簡素化されます。

申請にはGビズIDプライムが必須となり、電子申請での手続きが必要です。

設備導入後の効果測定と報告が義務付けられているため、導入計画の具体性が重要になります。

飲食店のデジタル化推進を支援する「IT導入補助金」

IT導入補助金は、飲食店のデジタル化を推進する代表的な制度です。

POSレジ、MAIDO MOBILEなどのモバイルオーダーシステム、予約管理システム、決済システムなどの導入により、業務効率化と顧客満足度向上を同時に実現できます。

2025年度の詳細申請スケジュール

2025年度は第1次から第7次まで、複数回の申請機会が設けられています。

第1次の締切は5月12日でしたが、第2次以降は6月16日、7月18日、8月20日、9月22日、10月31日、12月2日と続きます。

複数社連携IT導入枠も3回の締切が設定されており、連携先との調整時間も考慮した申請計画が可能です。

デジタル化基盤枠での活用パターン

2025年の制度では、デジタル化基盤枠が飲食店にとって最も使いやすい枠組みとなっています。

MAIDO POSなどのPOSレジとクレジット決済端末をセットで導入する場合、ハードウェア購入費も含めて最大350万円まで補助されます。

居酒屋チェーンでは、全店舗にモバイルオーダーシステムを導入し、注文受付業務の効率化を実現しました。補助金活用により導入コストを3分の1に圧縮し、注文ミスの削減と顧客満足度向上を両立しています。

「スタッフが接客に専念できるようになって、お客様との距離が縮まった」という現場の声も聞かれます。

飲食店が申請する際の注意点

IT導入支援事業者との連携が必須となり、共同での申請手続きが必要です。

申請前にGビズIDプライムアカウントの取得と、導入予定システムのベンダー選定を完了させておく必要があります。

IT導入補助金は導入後1年間の運用実績報告が必要です。システム活用による効果測定を継続的に行う体制を整備してから申請することをおすすめします。

飲食店の販路拡大に活用できる「小規模事業者持続化補助金」

従業員5人以下の小規模飲食店にとって最も活用しやすいのが小規模事業者持続化補助金です。

広告宣伝費、店舗改装費、設備購入費など幅広い用途で活用でき、販路開拓や生産性向上の取り組みを支援します。

2025年度の制度詳細と申請スケジュール

2025年度の通常枠は年2回の募集となります。第17回が6月13日締切、第18回が11月28日締切です。

基本の補助上限は50万円ですが、賃上げ・インボイス対応等の要件を満たすことで200万円まで拡大されます。共同・協業型では最大5,000万円の大型支援も可能です。

災害支援枠、創業型枠なども併設されており、事業者の状況に応じた申請が可能になっています。

飲食店での実際の採択事例と成果

地方の定食屋では、近隣にファミリーレストランが開店した影響で売上が20%減少していました。

そこで持続化補助金を活用してテイクアウト専用メニューを開発。チラシ配布とSNS広告でPRを実施した結果、新規顧客を獲得して売上が前年比130%まで回復しました。

「地域のお客様に改めて注目していただけて、本当に嬉しかった」と店主は振り返ります。

一方、うどん専門店では、製麺機と真空包装機を導入してお土産用商品を開発。店内飲食だけでなく物販事業も開始し、事業の多角化に成功しています。

補助金50万円(基本枠)を活用して75万円の設備投資を行い、新たな収益源を確立しました。

申請戦略と注意点

通常枠の募集は年2回に限定されているため、申請タイミングの見極めが重要です。

賃金引上げ枠を活用する場合は、地域最低賃金より50円以上高い賃金設定が必要となります。

革新的設備投資を支援する飲食店向け「ものづくり補助金」

革新的な設備導入により競合との差別化を図りたい飲食店には、ものづくり補助金が効果的です。

製麺機、急速冷凍機、真空調理機など、品質向上や新商品開発に直結する設備投資を支援します。

2025年度の補助上限と申請スケジュール

2025年度は第19回(4月25日締切)、第20回(7月25日締切)、第21回(10月24日締切)の3回公募が実施されます。

補助上限は従業員数により異なり、5人以下で750万円、6~20人で1,000万円、21~50人で1,500万円、51人以上で2,500万円となります。

グローバル展開枠では最大3,000万円(特例適用で4,000万円)まで拡大され、海外展開を視野に入れた大型投資も支援されます。

飲食店での対象設備と導入効果

パン製造販売店では、最新の冷凍生地システムを導入して品質の安定化と生産効率の向上を実現しました。

補助金1,500万円を活用して3,000万円の設備投資を行い、日産能力を2倍に拡大。廃棄ロスを30%削減することにも成功しています。

さらに和食店では真空調理システムの導入により、調理時間の短縮と品質の均一化を実現。ランチタイムの回転率向上により売上が20%増加し、投資回収期間を大幅に短縮しました。

申請要件と審査のポイント

革新性、技術面での先進性、政策支援意義の3つの観点から審査されます。

単なる設備更新ではなく、新しい価値創造や生産性向上に向けた明確なビジョンを示すことが採択の鍵となります。

飲食店の人材確保を強化する雇用関連助成金

深刻な人手不足に対応するため、雇用関連助成金の活用も重要な戦略になります。

正社員化の促進、処遇改善、職場環境整備など、人材の定着率向上に向けた取り組みを支援する制度が用意されています。

キャリアアップ助成金の正確な制度内容

アルバイトスタッフの正社員化を支援するキャリアアップ助成金では、正社員化コースで1人あたり基本57万円の支援を受けられます。

生産性向上要件を満たした場合は72万円に加算され、さらに第2期分(正社員化から12か月後)も申請可能となり、最大で80万円の支援となります。

申請期限は正社員化後6か月分の賃金を支給した日の翌日から2か月以内と厳格に定められており、事前にキャリアアップ計画書を労働局へ提出する必要があります。

申請スケジュールと注意点

キャリアアップ助成金は「通年申請可能」ではなく、正社員化実施後の具体的な期限内での申請が必要です。

ファミリーレストランでは優秀なアルバイトスタッフ3名を正社員化。216万円の助成金を受給しながら人材の定着を実現しています。

業務改善助成金との併用効果

事業場内最低賃金の引上げと生産性向上設備の導入を組み合わせることで、業務改善助成金も活用できます。

省力化機器の導入と賃金向上を同時に実現し、従業員満足度と事業効率の両立を図ることが可能です。

雇用関連助成金は厚生労働省の管轄で要件が詳細に定められています。申請前に社会保険労務士への相談をおすすめします。

地方自治体独自の飲食店補助金活用法

国の制度に加えて、都道府県や市区町村が実施する独自の補助金も積極的に活用すべきです。

地域の特性を活かした事業や地方創生に寄与する取り組みに対して、手厚い支援が提供されています。

東京都の支援制度例

東京都では「インバウンド対応力強化支援事業補助金」(上限300万円)を実施しており、多言語メニューの作成、免税対応システムの導入、Wi-Fi環境の整備などに活用できます。

浅草の老舗料亭では、この制度を活用して外国人観光客の受入体制を整備。売上が前年比150%に増加しました。

地方都市の創業支援制度

大阪府羽曳野市では新規創業促進のため、設備費用や店舗改装費を最大100万円まで補助する制度があります。

南砺市では「創業チャレンジ支援事業補助金」により、キッチンカーやレンタルスペース利用料を支援し、お試し出店を後押ししています。

地方自治体の制度は地域密着型の事業に対して採択されやすく、競合も少ないため狙い目の制度と言えるでしょう。

飲食店補助金申請の成功ノウハウと実践ステップ

補助金の採択を確実にするためには、戦略的な申請準備と質の高い事業計画書の作成が不可欠です。

採択率の高い申請書には共通する特徴があり、事前の準備が成功の分かれ目となります。

申請に必要な書類一覧

小規模事業者持続化補助金を例に、必要書類を整理しました。

準備には1か月以上を要するため、余裕を持ったスケジュール管理が重要になります。

書類名 内容 作成期間目安
様式1(申請書) 事業者基本情報 1-2日
様式2(経営計画書) 現状分析・事業計画 2-3週間
様式3(経費明細書) 使用経費の詳細 1週間
様式4(事業支援計画書) 商工会議所作成 1-2週間
添付書類 決算書・見積書等 1週間

採択率を上げる事業計画書のポイント

採択される事業計画書は、現状の課題分析が具体的で、解決策が論理的に構成されています。

「なぜその取り組みが必要なのか」「どのような効果が期待できるのか」を数値データで裏付けることが重要です。

販路開拓の具体性も重視されます。単に「集客を増やしたい」ではなく、「30代女性をターゲットとしたランチメニューの開発により、平日昼間の来客数を月間200名増加させる」といった具体的な目標設定が求められます。

よくある失敗事例と回避策

申請書類の不備による審査落ちが最も多い失敗パターンです。

見積書の有効期限切れ、必要書類の添付漏れ、記載内容の矛盾などは事前チェックで防ぐことができます。

また、補助対象外経費の混入も頻発する問題です。人件費、家賃、光熱費などの運営費は原則として補助対象外のため、設備購入費や外注費など明確に補助対象となる経費のみで計画を組むことが重要です。

補助金と融資を組み合わせた効果的な資金計画

補助金は基本的に後払い制のため、事業実施には事前の資金調達が必須となります。

補助金と融資を戦略的に組み合わせることで、より効果的な事業展開が可能になります。

資金調達のベストプラクティス

成功事例では、申請段階で日本政策金融公庫や地方銀行からの融資を確保。補助金採択後に設備投資を実行しています。

総投資額1,000万円の場合、融資700万円と補助金300万円を組み合わせることで、自己資金負担を最小限に抑えています。

商工会議所では融資相談も受け付けており、補助金申請と同時に資金調達の相談を行うことで、一体的なサポートを受けることが可能です。

キャッシュフロー管理の注意点

補助金の入金は事業完了後となるため、実施期間中のキャッシュフロー管理が重要になります。

設備購入から補助金入金まで6か月程度を要するケースが多く、この期間の運転資金確保も含めた資金計画が必要です。

補助金が採択されても、当座の資金不足により事業が頓挫するケースがあります。申請前に必ず金融機関との融資相談を完了させておきましょう。

まとめ

2025年の飲食店向け補助金制度は、人手不足、デジタル化、新事業展開という業界の重要課題に対応した充実した内容となっています。

適切な制度選択と戦略的な活用により、限られた予算でも大きな経営改善効果を実現することが可能です。

成功の鍵は、自社の経営課題を明確にし、課題解決に最適な補助金制度を選択することです。

補助金ありきではなく、事業戦略の実現手段として補助金を位置づけることで、持続的な成長を実現できるでしょう。

申請にあたっては、商工会議所等の支援機関を積極的に活用し、専門家のアドバイスを受けながら質の高い事業計画書を作成することをおすすめします。

適切な準備と戦略的なアプローチにより、補助金を活用した飲食店経営の成功を実現しましょう。